>この「縁を結いて」お話ありましたけど、ミュージッククリップも神社で撮られたと聞いてますけども

剛「そうですね。めっちゃ雨降ってた日ですけど」

>雨降ってましたねえ

剛「水の神さんやから、歓迎してますよいうて宮司さんが言ってくれてましたけど。雨って僕すごくマイナスなイメージがあったんです、昔は。でもある時から好きになって、ジャズとか聞くようになってから、雨が好きになってったんですよ。それで雨好きやなあなんて日々を送ってたら、水の神さんがお祀りされてるような所に、なんかこう自然と足を運ぶような機会が増えてって、奈良におる頃は、全然神社もお寺も、それこそ七五三の時とかにしか行ってないので。春日大社さんにね、七五三の時行って、3歳の時にシカにはねられて、みたいなね。色々な経験があるんですよ。シカは意外と凶暴だっていうね、3歳の時に少年は知るわけで。それからなんか行ってなかったんです、やっぱ東京に住んでふるさと恋しくなったり、なんていうんですか、東京と奈良でさえも、日本人のなんちゅーんですかね、昔の人々の発想を生きてる生きてないっていうのが、ずいぶん違うなっていうことに気づいて、それで、奈良に帰ったりすることがすごく多くて。年を重ねるにつれて、奈良を勉強しようとか、って思ってたら、日本を勉強することにもなるし、でも日本を勉強することになるってことは、未来を想像するし、そして世界を勉強することになっていく、なんかこう・・自分の原点というものをひもといていきたいと思いだしたのが、ほんとに海外とか色々行って仕事したのも多くて、きっかけとして多くて。で、まあ以前だったらパリの方に長期間行ったりもしたんで、その時に奈良っぽい雰囲気のエリアもいっぱいあったりとかして、また奈良戻ってきてとか、どんどんひもといてやっていくと、すごく楽しくなってきちゃいまして、で、それでそんな中で「縁を結いて」という曲もふと訪れた神社がすごく好きになっちゃって、そこで家族にも見せたいなと思って、家族で行って、そこから流れるように、自然と言葉とメロディが出てくるっていうようなね、そういう時間を過ごしたんですけど。なんかね、なんともいえない気持ちを、自分のふるさとを与えてくれますんで、これだけやっぱり僕なんかも音楽をやってるから、最先端技術の中で仕事していくわけですよね、だから自分は魂で曲を作っても、歌詞を作っても、なかなかスタジオで天井があるところで魂がこめれない自分の時もあるんですよ、まだ未熟なもんで。だからそのここには天井がないと思って歌えるところまで行ければいいんですけど、でもこの「縁を結いて」って曲はちょっと神社で歌いたいなって言ったらみんなが、え?みたいな感じになっちゃったけど、神社で歌いたいな、オレ、って言うて、だめもとで僕が聞いてみるから、アカンって言われたらあきらめるけど、いいって言わはったら考えてみてもらっていいです?って言うて。それで言ったら、いいよって言うてくれはったんで。それで普段祝詞あげてはるところ、ここで神さんに向かってどうぞ歌ってくださいって言うて。神様も扉あけますからつって開けてくれはって、神様に向かって、弁天さんに向かって、水の神さんに向かって歌ったんですよね。僕はこの国のことをほんとに、ほんとに考えてるんですっていうような、まあ・・ことをお伝えして、これから日本人は日本人の心を失わないように、僕はどんな風にしていけばいいかを考えながら音楽をいっぱい作っていきたいと思いますってことを言いながら、1回その、挨拶して、それから歌ったんですけど。うん・・まあ、でもなんでしょうね、その時に泊まった旅館があって、その時に泊まったところのおばちゃんがなんか、イノシシの話をずっとするんで、すごい大変でした。なんかもう歌う前にイノシシの話いっぱい聞かされてから、それを振り払って歌いましたね」

>それでも逆に歌のことばっかり考えなくて、すっと・・

剛「っていうか、まあ、その僕は集中して、さっと歌って、さっと帰るくらいにしたかったんですけど、イノシシの話に結構ひっぱられたところもあって、最近山からあの子がおりてこないって話をしたんですけどね」

>イノシシのあの子が

剛「うん、あの子が。うーん・・写真も額に飾ってあってね、イノシシの。でも夜撮ってる写真なんで顔真っ暗なんですよ、で、目だけめっちゃ光ってるっていう、写真を見ながら?その日のシシの話いっぱい聞いて、うん、じゃあちょっとおばちゃん僕歌うたいに行くから、おばちゃん聞きに行っていい?って言うから、あ、ちょっとおばちゃん、ここにいてもらっていいかなあって言うて、すぐ帰るわって言って、それでいって歌ってきたんですけど、奈良の人ともふれ合いながらね、歌ったんですよ」

>いいですね、普段東京ではなかなかないじゃないですか

剛「そんなイノシシの話ずっと聞かされるなんてなかなかないですよ」

>それってやっぱりふるさとであり、なにか違う自分の感覚がちゃんと呼び起こされる土地だからっていうのもあるんですかね

剛「まあ、そうですよね、なんか、まあだから、やっぱりそうですね、東京に生まれてたらそれでよかったこともあるでしょうね、でも奈良で生まれたから、それで良かったこともあるわけで、ほんとは奈良にね、奈良スタとか作って誰かくれたら、奈良でレコーディング出来るのになとかすごい思います」

>それが実現不可能なことではないですね

剛「不可能なことではないですね、ただミュージシャンを長期で、合宿みたいになっちゃいますから、みんなで奈良に呼んでですね、この期間でアルバムを作るとかっていう風になっていくので、まあそれはそれで出来ると楽しいですけど。うん、奈良に自分が納得出来る機材をですね、いれたスタジオっていうのができれば、夢のまた夢の話ですけどそういうのも楽しいやろな、そしたら、奈良のミュージシャンもいっぱいいますからね。そういうのは作りたいですね」

>剛さんのふるさとである奈良も含めてですけど、今回は台風の被害が大きくて、紀伊半島は水害といいますかね、大変なことになって。剛さんも、ゆかりのある土地、人々も被災されてしまった。これはやっぱり剛さんにとっても何かまた新たな思いが生まれましたか?

剛「そうですね、3月11日に東日本の震災があって、それで僕自身はその時間の中では曲は生まず、過去にかいた「縁を結いて」という日本人の心を歌った歌をリリースするということを4月の6日にはじめて、それから自分が東北に対してどのような関わり方をしよう、じゃあ僕は、人は忘れていく生き物だから、みんなが忘れるころ、忘れたころに訪れるのがいいんじゃないかなと、そういうような思いで過ごしてたんですよ。それでその東北のライブを目前に控え、平安神宮さんでライブをさせていただいた時、その時にものすごい雨量、台風っていうものを感じながら、その前も、和歌山の方すごかったんで、すごく心配してたんですね、土砂のこととか。僕ちょうど、平安さんの前にですね、ちょうどだから1週間もたたないくらい前にですね、和歌山の那智大社、那智の方も訪れて、僕十津川村にも訪れてたんですよ、で、そのあとの話なので、んー、なんかすごくですね、色々複雑な気持ちがあるなかで平安神宮させていただいたんですけど、その京都にいる間も何もできへんし、知り合いも多いので一応お電話させてもらったりしながら色々状況を知ったりとか、してたんですけど。うん、どうにもこうにいかへんってことで、実際レコーディングさせてもらった天河さん、天河神社も水害にあわれてですね、やっぱり水の神様のとこなんで、宮司さんと色々そのあとでお電話で話させてもらいましたけど、僕の中ではあそこがそうなると思ってないような場所だったりとかするんですよ、その川があふれたって聞いても、あの高さあふれてくるの?っていう高さだったりとか、すごいんですよね、やっぱり水の勢いっていうか、力っていうか。で、土砂ができて水が止められて、で、方向が変わって、こっちに入ってきたっていうようなことがあったりするし、まあ、そうですね、僕なんかは奈良に生まれてるんで、素直にね、神様は何を言うたはんのかなっていう気分でそういう、まあ、災害をとらえるというのとともに、これからどうしてあげれば、この傷を救ったり治療したり、なんか癒すことって、僕が出来ることってなんなんかな、ってまた考えたり、東北のことを考えてる時に自分のふるさともそうだったし、でも「縁を結いて」って曲はふるさとってキーワードもすごくあったので、なんか自分はふるさとのことを日本の人に歌いなさいって言われてたのかなって思ったりしながら、また改めて「縁を結いて」って曲を、うーん、なんか考えました。うん、でもほんとにここがこうなることはないだろうとか、ちょっと思ってはしてたんですけど、でも十津川訪れた時にお話したおじいちゃんが、そろそろ山、心配やなって言ってました。なんで?って言ったら、前も崩れとるからなって。ここもしかしたら来てまうかなと思ってんねやって、言って。それはちょっと心配やわって。だいたい地震でも100年周期とか、120年周期とかあるじゃないですか、そういうものをひもといていくと、ちょっと、そろそろなって言うてはりました。で、まあ、実際その時お邪魔したお蕎麦やさんとか、そのおじいちゃんとか含めてご連絡したら生存は確認出来たので安心はしましたけれども、やっぱり亡くなられた方もいらっしゃいますし、被災された方もたくさんいらっしゃるので。んー、何かほんとに、自分のふるさとですから、奈良は。何かこう自分が出来ることを、村の人とか、奈良の市の人とか県の人とかと話をして、何かやりませんかっていうようなこととかも含めて実現出来たらなとちょっと思ったり。色んなこととにかく、そうですね、考えながら、でも考えるだけじゃなくて実行にうつそうっていうところで、このラジオが放送される時はもうたぶん終わってると思うけど、実際奈良にも行ってお手伝い出来ること、掃除含めて何か出来たらなと思ってるんで、もうすぐしたら、すぐ行こうと思ってるですけどね」




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