>Requiem

その57・・・「美しいこと」・・・・

その時間に降りしきっていた雨は次第にあがり
日がすっかり登りきった頃、ちょうど神戸の街の空に
大きな虹がかかっていました。
希望を約束するようなその光景に涙が止まりませんでした

10年という節目の年になった今年は
いつにもましてテレビでも新聞でも特集が組まれています。
ここで一区切りつけられてしまうのは仕方ないことかもしれません。
でも自然災害は、人が区切りをつけられるものではありません
人の気持ちにも、人が区切りをつけられるものではありません

阪神大震災の被災者で、先日の新潟地震を見て
震災を思い出し怖くなったという人が大多数を占めている
・・というアンケート結果を見ました。
普段忘れて生きているようでも、やはり心の奥底に
未だにしっかりと染みついている体験であったことは以前お話しました。

なので、今特集されている震災の番組も、正直ほとんど見ていません
けれど、あの時体験していない人、記憶にない、あるいは生まれていなかった
子供たちには是非見て欲しい。CGでもSFXでもない、本当の映像を。
この中で亡くなった多くの人のことを。そしてもっと多くの乗り越えて生きてきた人を。




一つだけ映像を見ました
瓦礫の中から娘の亡骸を運び出してきてくれた人に
そして見守る周囲の人に
涙しながらも「ありがとうございました」と頭を下げる
お父さんの姿・・・
日本人はなんて美しいのだろう

痛ましい中にも美しいことがたくさんあったから
がんばって生きてこれたのかもしれません




その58へ